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教養・歴史 よみがえる石川経夫

先輩が語る石川経夫「自分を犠牲にしてでも尽くす人」八田達夫・公益財団法人アジア成長研究所理事長

 大学や大学院で同期の岩井克人氏、奥野正寛氏、橘木俊詔氏。先輩の八田達夫氏。後輩の吉川洋氏。愛弟子の玄田有史氏。6人それぞれが経済学者として、また、一人の人間としての石川経夫を熱く語る。(聞き手=佐々木実・ジャーナリスト/浜條元保・編集部)

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八田達夫(はった・たつお) 1943年生まれ、65年国際基督教大学卒。73年ジョンズ・ホプキンス大学Ph.D、オハイオ州立大学助教授、ジョンズ・ホプキンス大学教授、大阪大学教授、東京大学教授、政策研究大学院大学学長などを経て2018年から現職。

 1969年5月に、私がジョンズ・ホプキンス大学の大学院1年目を終えたころ、すでに帰国していた一学年先輩の竹島一彦さん(元公正取引委員会委員長)から「今秋、小宮ゼミの後輩の石川経夫君が博士課程に入学するからよろしく」との手紙が届いた。小宮隆太郎先生から頼まれたのだと思う。石川君がホプキンスに着いてキャンパス周辺を案内した時、彼の目がキラキラしていたことが印象に残った。

 石川君はジョンズ・ホプキンス大学に来た当初から、際立った存在だった。とにかく一生懸命に勉強する。大学の図書館は朝8時から夜12時まで使えるのだが、石川君は毎日開館する8時前に入り口で待つ。ほかに並んで待つ学生は、いても一人か二人である。講義以外は、閉館する夜12時までずっと図書館に籠もって勉強する毎日だった。一刻を惜しむように勉強していた。図書館の中でも歩かず、いつも小走りだった。

 そんな真面目な姿勢に加えて、経済学の実力があり、講義で繰り出す質問は鋭く、飛び抜けていたから学生・教員全員が石川君に一目を置くようになった。

 優秀さを示すエピソードはたくさんある。例えば、大学院2年目が終わった段階で成績優秀者に贈られる賞を彼は1年目で受賞してしまった。ホプキンスの経済学部が始まって以来の快挙だった。

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