中国の野心的な「核融合」計画 米国引き離す予算規模 窪田秀雄
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「未来のエネルギー」とされる核融合発電で、中国は実用化へ動き出している。
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中国の「核融合」が国内外から注目されている。英科学誌『ネイチャー』は2024年9月11日付で、「中国は、クリーンで無限のエネルギーを供給する核融合発電の野心的な計画を持つが、果たして実現可能だろうか」とする論評を掲載した。
現在の原子力発電は、ウランやプルトニウムなどの質量数の大きい物質の「核分裂」エネルギーを使っている。これに対して、重水素や三重水素(トリチウム)などの質量数の小さい物質の原子核を融合する時に出るエネルギーを使うのが「核融合」発電だ。核融合は、核分裂に比べると放射性廃棄物の処理が容易といった利点はあるが、実用化にはまだ時間がかかるとみられており、各国が単独で、あるいは国際協力のスキームで開発を進めている。
世界で最も有名な核融合施設は、220億ドルを投じてフランス南部に建設中の「国際熱核融合実験炉」(ITER)であり、中国も06年に正式に参加した。ITERは当初、25年に運転開始予定だったが、34年まで遅れることが明らかになった。一方で近年、米国などの野心的な企業…
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週刊エコノミスト
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