国際・政治 中国動乱前夜

中国の野心的な「核融合」計画 米国引き離す予算規模 窪田秀雄

核融合技術の総合研究施設「CRAFT」は2025年末の完成が予定されている
核融合技術の総合研究施設「CRAFT」は2025年末の完成が予定されている

「未来のエネルギー」とされる核融合発電で、中国は実用化へ動き出している。

>>特集「中国動乱前夜」はこちら

 中国の「核融合」が国内外から注目されている。英科学誌『ネイチャー』は2024年9月11日付で、「中国は、クリーンで無限のエネルギーを供給する核融合発電の野心的な計画を持つが、果たして実現可能だろうか」とする論評を掲載した。

 現在の原子力発電は、ウランやプルトニウムなどの質量数の大きい物質の「核分裂」エネルギーを使っている。これに対して、重水素や三重水素(トリチウム)などの質量数の小さい物質の原子核を融合する時に出るエネルギーを使うのが「核融合」発電だ。核融合は、核分裂に比べると放射性廃棄物の処理が容易といった利点はあるが、実用化にはまだ時間がかかるとみられており、各国が単独で、あるいは国際協力のスキームで開発を進めている。

 世界で最も有名な核融合施設は、220億ドルを投じてフランス南部に建設中の「国際熱核融合実験炉」(ITER)であり、中国も06年に正式に参加した。ITERは当初、25年に運転開始予定だったが、34年まで遅れることが明らかになった。一方で近年、米国などの野心的な企業…

残り1540文字(全文2040文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

1月14日・21日合併号

中国・動乱前夜16 学生20万人が深夜サイクリング 指導部が警戒する「動乱」の兆し■安藤大介19 インタビュー 柯隆 東京財団政策研究所主席研究員 米中対立は激化必至 習政権に解見つからず20 経済成長 GDP押し下げるトランプ関税 長引く不動産不況に追い打ち ■三浦 祐介22 消費不振長期化 不動 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事