反転基調の中国株 プラットフォーム型テック株に割安感 戸松信博
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調整局面が続いていた中国株は2024年に一時、急騰した。最近の情勢の変化を踏まえ、今後の展望を探る。
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中国株の長期的な株価推移を見ると調整局面が続いている一方で、2024年は大きな転機が訪れた年だったといえるだろう。
中国人民銀行の潘功勝総裁は記者会見で、(強制的に預金の一定割合を預かる)銀行の預金準備率を0.5%引き下げ、主要政策金利である7日物リバースレポ(短期)金利も0.2%引き下げると発表。さらに、2軒目の住宅購入時の最低頭金比率を15%と、1軒目購入時と同水準に引き下げる方針を示した上、既存の住宅ローン金利を平均で約0.5%引き下げ、新規住宅ローン金利の水準に近づけるとした。また潘総裁は、低迷する株式市場を支えるための計画を明らかにし、1000億ドル(約15.7兆円)以上の流動性注入や、安定化基金設立の可能性があると述べた。
景気刺激策で一時急騰
これらの景気刺激策によって中国本土株の代表的な株価指数である上海総合指数や日本人が中国株を買う場合の一般的な株式市場である、香港市場の代表的な株価指数、香港ハンセン指数は9月24日から急騰。中国株の上昇は歴史的といえるほどの急激な上昇となり、香港市場の出来高は連日過去最高を更新した。中国本土市場も24年最大の大商いを連日続け、記録的上昇率となり、上海総合指数は22年7月の高値、香港ハンセン指数は23年1月の高値を超える動きとなった。
その後、政策期待を織り込むと、一旦株価は調整した。11月に開催された全国人民代表大会(全人代)では10兆元以上の追加の景気刺激策が期待されていたが、全人代後に発表されたのは地方政府融資平台(中国の地方政府傘下にある、資金調達とデベロッパーの機能を兼ね備えた投資会社)から地方政府への一部債務の付け替えが10兆元という内容だった。
そもそも、国有企業である地方政府…
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週刊エコノミスト
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