中国で相次ぐ「献忠」事件を考える 経済苦が招く社会的報復テロ 福島香織
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中国で無差別暴力事件が相次ぐ。「社会への報復」としてのテロが後を絶たないのは、なぜか。
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中国で「社会報復性無差別テロ」と呼ぶべき事件が急増している。社会不満や不条理の報復として無関係の弱者を襲撃する事件、ネットスラングで「献忠」と呼ばれている。明末の農民反乱リーダーで歴史的大量殺戮(さつりく)者の張献忠の名前からとったものだ。
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この種の事件で過去10年来最大死者数を出したのは11月11日夜、広東省珠海市のスポーツセンターで起きた自動車暴走殺人事件だ。容疑者は無職62歳男、SUVでセンター内のグラウンドに進入、暴走し、ウオーキングなどをしている市民を次々とはねて死者35人、負傷者43人を出した。地元セルフメディア(独立系メディア)の話を総合すると、妻に浮気されて離婚し、その後の財産分与を巡る裁判で、納得いかない判決を受けた不満から犯行に及んだらしい。
続く11月16日夜、江蘇省無錫市の無錫工芸職業技術学院のキャンパスに元在校生21歳が刃物をもって侵入、逃げ惑う学生たちに無差別に切りつけ、8人が死亡、17人が負傷する事件が起きた。容疑者は今年秋に卒業する予定だったが、卒業試験に不合格となり卒業証書が受け取れなかったことや、卒業前の実習の報酬が少なかったことなどに不満を持ち、犯行に及んだという。
11月19日朝には湖南省常徳市の永安小学校で、通学中の児童生徒に向かって白いSUVが突っ込み、大勢の児童をはねて負傷させた事件が発生。運転していたのはこの小学校に通う9歳児童の父親39歳。容疑者の息子が学校で同級生に暴行され大けがを負ったのに、学校側が対応してくれなかったことへの恨みが犯行動機であったという。
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週刊エコノミスト
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