止まらぬ中国の人口減 産児制限から出産奨励に転じても効果薄く 三浦有史
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中国は2015年に一人っ子政策を廃止し、出産を奨励する政策へと移行した。しかし効果は薄く、人口減少は一段と加速しそうだ。
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中国の人口減少が止まらない。1000人当たりの人口の増減を表す自然増加率は2017年から低下し、22年に前年比0.06%減、23年も同0.145%減と、2年連続でマイナスとなった(図)。
24年の人口は、新型コロナウイルス禍で結婚や出産が延期された反動で増加に転じる可能性があるものの、中国国内でも人口減少のトレンドは覆らないという見方が支配的である。
中国の23年の人口は14億967万人である。国連は「世界人口見通し24年版」で、31年に14億人、47年に13億人、そして、56年に12億人を割り込むと推計する(中位推計)。25年間隔で見た人口の年平均減少率は、25〜50年が0.45%、50〜75年が1.18%、75〜00年が1.54%で、日本がそれぞれ0.63%、0.74%、0.54%であることと比べると、減少スピードの加速が顕著である。この背景に一人っ子政策があるのは言うまでもない。
中国は、23年に世界最大の人口を擁する国としての地位をインドに明け渡した。インドは、60年ごろまで人口が増加し続けることから、両国の差は急速に拡大する。国連によれば、両国の人口の差は29年に1億人、36年に2億人、42年に3億人を超える。自動車やスマートフォンなどの世界最大の市場として投資家を引きつけた中国の魅力は徐々に低下する。
子供は3人まで
習近平政権は、さまざまな少子化対策を打ち出してきた。そのひとつは産児制限の撤廃である。中国は1979年に一人っ子政策を導入し、厳格な産児制限を行ってきた。同政権は15年末にこれを廃止し、子供を2人持つことを、そして、21年6月には3人まで認める政策を打ち出した。
しかし、図の右肩下がりの自然増加率…
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週刊エコノミスト
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