経済・企業 中国動乱前夜

習主席の“号令一下”で不動産市場に底入れ期待 業界の健全化には道遠く 湯浅健司

恒大集団が建設中の住宅ビル(江蘇省揚州市) Bloomberg
恒大集団が建設中の住宅ビル(江蘇省揚州市) Bloomberg

 習近平指導部が打ち出したテコ入れ策により住宅価格には底入れ期待が出てきた。市場の正常化まで、こぎつけられるか。

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「不動産市場をテコ入れして下落を止め、安定させよ」。2024年9月26日に開かれた中国共産党の中央政治局会議で、習近平総書記(国家主席)は居並ぶ党幹部らに厳しく指示した。

 習氏は16年末の中央経済工作会議で「(住宅は)住むものであって投機の対象ではない」と発言。それ以来、不動産価格は上昇を抑えて庶民でも購入できる水準にとどめるべき、と繰り返してきた。「下落を止め、安定させよ」の指示は方針の大転換にほかならない。

 そもそも、9月の政治局会議自体が異例だった。通常なら経済運営については4月、7月、12月に話し合うからだ。異例のタイミングで習氏が大号令をかけたのは、不動産不況が起因となって24年春から秋にかけて国内経済が生産から消費、投資に至るまで軒並み精彩を欠き、通年の政府目標である「5%前後の経済成長」が危うくなったためである。

当局の対策に不信任

 不動産市場の低迷は深刻だった。政府は5月に①売れ残った5000億元(約10兆5000億円)分の住宅を買い取り低所得者向けの賃貸物件に転換して、在庫を圧縮する、②住宅購入時の家計負担を軽減する──などの支援策を打ち出した。しかし、いずれもうまく機能せず、9月の政治局会議の直前に中国国家統計局が発表した新築住宅価格(8月時点、主要70都市が対象)は前年同月比5.7%の下落と、15年5月以来の大きな下げ幅を記録した。当局の対策に対する市場の不信任を示す結果となったのだ。

 危機感を強めた習氏が重い腰を上げて不動産価格のテコ入れを指示すると、国務院(政府)は李強首相が主宰する常務会議を開き、経済政策を速やかに実行することを確認。政治局会議に前後し人民銀行(中央銀行)が住宅ローン金利の引き下げを決めたほ…

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週刊エコノミスト

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