対中規制強化で“進化”した中国半導体産業 製造・装置・材料で成長続く 武野泰彦
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中国の半導体産業は米国による規制を受けたが、巨大な国内市場の需要を背景に、製造装置・材料の国産化が進展、世界と肩を並べる実力を付けている。
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中国の半導体産業は、中国製の独自チップを開発する「中国製造2025」や、半導体関連企業に対して多額の投資を行う集積回路産業投資基金(通称:ビッグファンド)を中心に、中国政府が積極的な支援、投資を実施している。それによって、IC(集積回路)設計、IC製造、OSAT(組み立てとテストの受託企業)、製造装置、材料といったエコシステムの育成、強化を進めてきた。その結果、半導体の内需が拡大し、半導体製造においても一定のシェアを占めるようになってきた。
SMICが世界3位に
中国の半導体産業の急速な発展に対して、米国政府は中国の半導体産業を規制する政策を打ち出し、中国を念頭に置いた輸出管理規制により先端半導体製品に関わる半導体製造装置、それらの開発・製造に関連する物品の対中輸出を規制した。しかし、2023年9月にファーウェイ(華為技術)の新型スマートフォン向けプロセッサーに、中国のファウンドリー(製造受託)最大手SMIC(中芯国際)の7ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスノードが用いられていることが判明。中国はEUV(極端紫外線)露光装置を使用せず、ArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザー液浸露光装置により複数回露光するマルチ露光技術を使用して先端半導体を生産していることが分かった。
SMICの生産能力は向上しており、米グローバルファウンドリーズと台湾UMC(聯華電子)を抜き、台湾TSMC(台湾積体電路製造)、韓国サムスン電子に次ぐ世界3位になったと自身で発表している。
中国主要半導体メーカー14社の23年度半導体売り上げ合計は、対前年比約12%減の約159億3900万米ドルと電子機器需要低迷により減少したが、…
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週刊エコノミスト
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