経済・企業 中国動乱前夜

中国がほぼ独占生産するEV用LFP電池 輸出で解消できない生産過剰 三浦有史

パリ・モーターショーに展示されたBYDのEV。中国産EVの躍進は先行するLFP電池開発が支えている Bloomberg
パリ・モーターショーに展示されたBYDのEV。中国産EVの躍進は先行するLFP電池開発が支えている Bloomberg

 中国は車載用のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の開発・実装で世界を席巻する。今後も「覇者」として君臨し続けるのか。

>>特集「中国動乱前夜」はこちら

 2023年の中国の車載リチウムイオン電池需要は417ギガワット時と、世界の54.0%を占める。背景には、電気自動車(EV)の普及に伴い、車載電池市場が急成長していることがある。中国のEV普及率は23年に38.0%に達し、欧州(18.0%)、米国(9.5%)、日本(3.6%)を大幅に上回る。

 リチウムイオン電池は、EVの性能と価格を左右する最も重要な部品である。中国のEVが航続距離において米国や欧州のEVと大差がないにもかかわらず、価格が安いのは、同電池の開発・実装で先行しているところが大きい。

 世界のリチウムイオン電池の生産能力は中国に集中している。23年の中国の生産能力は1784ギガワット時で、世界の81.4%を占める。この圧倒的な生産規模とそれに裏打ちされた集積の厚さが、中国のリチウムイオン電池産業の強みである。

コスト、安全性、寿命で優位

 車載電池を巡っては、世界で開発競争が繰り広げられている。中国はリン酸鉄リチウムイオン(LFP…

残り956文字(全文1456文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

1月14日・21日合併号

中国・動乱前夜16 学生20万人が深夜サイクリング 指導部が警戒する「動乱」の兆し■安藤大介19 インタビュー 柯隆 東京財団政策研究所主席研究員 米中対立は激化必至 習政権に解見つからず20 経済成長 GDP押し下げるトランプ関税 長引く不動産不況に追い打ち ■三浦 祐介22 消費不振長期化 不動 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事