中国でマオタイ酒や宝飾品のバブルが崩壊 中古品60兆円分が世界へ流出か 高口康太
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高成長を背景に中国は世界中の高級品を買い集めてきたが、そうした投資商品のバブルが崩壊、世界市場に売り出されようとしている。
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中国を代表する銘酒に茅台(マオタイ)酒がある。1972年の日中国交正常化の式典で、田中角栄首相と周恩来首相が乾杯したことで日本でも知られるようになった。中国では宴席に欠かせない酒として知られ、贈答品の定番だ。日本のガチ中華店(本場の味を提供する店)でもだいたい置いているが、料理が安い店でもマオタイ酒の価格だけは別格。1本8万円といった値付けを見てぎょっとすることが多い。圧倒的ブランド力から製造メーカーの貴州茅台集団は2023年末の時価総額ランキングで、大手IT企業テンセントに次ぐ2位につけた。
市中に1億本の在庫
そのマオタイ酒に異変が起きている。24年初頭に約2700元(約5万4000円)だった新酒取引価格は12月時点では2000元強(約4万3000円)にまで急落した。この状況に慌てているのはメーカーだけではない。実はマオタイ酒は投資商品としての価値も高い。瓶詰めされた後も熟成によって味に深みが増すとされ、古いものほど価格が高い。ゆえに消費されず、保管されている在庫が膨大にあると推定されている。正確な数量は分からないが、俗に1億本の市中在庫があるといわれる。つまり、新酒価格で計算してもこの1年で700億元(約1兆4000億円)のマオタイ資産が吹き飛んだ計算となる。プレミアがついている古酒の値下がり幅はもっと大きい。24年、これほどまでに急落したのは春に2500元ラインを割ったため、一部で損失覚悟の在庫放出があったためと見られる。2000元ライン割り込みが次の急落の引き金になるのではないか。投資家たちの心理は疑心暗鬼に満ちている。
中国は“バブルの国”だ。さまざまな商品ジャンルで価格上昇を狙った投資が行われてきた。数ある…
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週刊エコノミスト
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