経済・企業 エネルギー
急拡大する系統用蓄電池導入 法改正で蓄電も「発電事業」に 岩間剛一
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系統用蓄電池の導入には、割高なコストや中国勢の存在感の高さなど課題も少なくない。
東京ガス、オリックスなど続々参入
日本国内で系統用蓄電池の導入が急速に拡大し、さまざまな企業が続々と参入している。太陽光や風力などによる再生可能エネルギーの発電量が増加する中で、リチウムイオン電池やNAS(ナトリウム硫黄)電池による電力需給調整が期待され、政府も政策改定などによって後押しする。蓄電池の割高なコストなど課題も少なくないが、今後もしばらくは勢いが持続しそうだ。
東京ガスは現在、2026年度中の商業運転開始を目指し、大分市で「大分県角子原(つのこばる)蓄電所」(出力2.5万キロワット)の建設を進めている。24年4月に着工した同社グループとしては初の系統用蓄電池事業で、経済産業省の補助金を活用した。また、蓄電所開発の世界大手、英エク・エナジーの日本法人が宮崎市で開発する「広原蓄電所」(3万キロワット)について、20年間の運用権も取得した。
オリックスも滋賀県米原市で27年の運転開始を目指し、国内最大級の「米原湖東蓄電所」(13万4000キロワット)の建設を進めているほか、石油資源開発は24年8月、系統用蓄電池事業に参入すると発表し、千葉市の同社技術研究所構内に蓄電池設備を着工するなど、新規参入や大型プロジェクトが相次いで打ち出されている。太陽光など再エネ事業のノウハウを持った企業が目立つのも大きな特徴だ。
オリックスは電力広域的運営推進機関(OCCTO)が24年1月に実施した1回目の「長期脱炭素電源オークション」で電源を落札した。オークションは脱炭素電源への新規投資を促すため、落札した電源に原則20年間にわたって建設費などの固定費に見合った容量収入を保証するもので、その対象となった系統用蓄電池ではオリックスも含め計109万キロワットのプロジェクトが落札されている(図1)。
経済産業省の…
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