経済・企業 エネルギー

急拡大する系統用蓄電池導入 法改正で蓄電も「発電事業」に 岩間剛一

オリックスが関西電力と共同で建設した紀の川蓄電所(和歌山県紀の川市)。昨年12月に運転開始し、出力4万8000キロワットと稼働中の蓄電所では国内最大級(共同通信)
オリックスが関西電力と共同で建設した紀の川蓄電所(和歌山県紀の川市)。昨年12月に運転開始し、出力4万8000キロワットと稼働中の蓄電所では国内最大級(共同通信)

 系統用蓄電池の導入には、割高なコストや中国勢の存在感の高さなど課題も少なくない。

東京ガス、オリックスなど続々参入

 日本国内で系統用蓄電池の導入が急速に拡大し、さまざまな企業が続々と参入している。太陽光や風力などによる再生可能エネルギーの発電量が増加する中で、リチウムイオン電池やNAS(ナトリウム硫黄)電池による電力需給調整が期待され、政府も政策改定などによって後押しする。蓄電池の割高なコストなど課題も少なくないが、今後もしばらくは勢いが持続しそうだ。

 東京ガスは現在、2026年度中の商業運転開始を目指し、大分市で「大分県角子原(つのこばる)蓄電所」(出力2.5万キロワット)の建設を進めている。24年4月に着工した同社グループとしては初の系統用蓄電池事業で、経済産業省の補助金を活用した。また、蓄電所開発の世界大手、英エク・エナジーの日本法人が宮崎市で開発する「広原蓄電所」(3万キロワット)について、20年間の運用権も取得した。

 オリックスも滋賀県米原市で27年の運転開始を目指し、国内最大級の「米原湖東蓄電所」(13万4000キロワット)の建設を進めているほか、石油資源開発は24年8月、系統用蓄電池事業に参入すると発表し、千葉市の同社技術研究所構内に蓄電池設備を着工するなど、新規参入や大型プロジェクトが相次いで打ち出されている。太陽光など再エネ事業のノウハウを持った企業が目立つのも大きな特徴だ。

 オリックスは電力広域的運営推進機関(OCCTO)が24年1月に実施した1回目の「長期脱炭素電源オークション」で電源を落札した。オークションは脱炭素電源への新規投資を促すため、落札した電源に原則20年間にわたって建設費などの固定費に見合った容量収入を保証するもので、その対象となった系統用蓄電池ではオリックスも含め計109万キロワットのプロジェクトが落札されている(図1)。

 経済産業省の…

残り1847文字(全文2647文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

1月28日号

AIもフル活用! 税務調査&相続税対策16 データ電子化で即座に判明 「無申告」捕捉の精度向上■谷道健太19 AIの積極活用 申告漏れ可能性高い先を選定 収集情報や調査データで学習■泉絢也21 ネットの副業 SNSの宣伝、中古品転売……無申告がバレれば重たいツケ■植村拓真25 所得税の不正還付 申告 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事