教養・歴史 歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話

㉕咀嚼と栄養から食を見直す 林裕之

 現代人が好む食品は、軟らかく栄養が偏っているものが多く、咀嚼不足と栄養のアンバランスの元凶となっている。

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 前号までの2回で乳幼児からのよく噛(か)む習慣は、歯並びの乱れを防ぎ、記憶力などの能力を向上させることを解説しました。しかし、早い離乳や軟らかい食べ物が主流の食生活で、よく噛まず飲み込んでしまう子どもが増えており、噛む力は衰えている傾向にあります。対策として母乳育児を基本とし、ミルクの場合は母乳型乳首を使用し、乳歯が生えそろったら歯応えのある食事やガムなどで咀嚼(そしゃく)回数を増やすことを提唱しました。

 そもそも論になりますが、よく噛むためには丈夫な歯が必要です。歯の元となる歯胚は、乳歯は妊娠前期に、永久歯(第2、第3大臼歯以外)は妊娠後期に完成し、徐々に歯の形に成長します。歯の表面を覆うエナメル質はカルシウム(ミネラル)、内側にある象牙質はたんぱく質が主成分で、どちらも形成のためにビタミンA、C、Dが必要です。図は歯胚の完成時期とカルシウムの多い食品ですが、カルシウムはいろいろな食品に含まれており、これらにはたんぱ…

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