国際・政治 アフリカ
サブサハラで対抗する欧米の「ロビト回廊」開発と中国「一帯一路」 齊藤雄祐
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アンゴラ、コンゴ民主共和国、ザンビアにまたがる鉄道などインフラ整備のプロジェクトが欧米主導で進んでいる。
鉱物資源確保に米国も本腰
バイデン米大統領が昨年12月、アフリカ南部アンゴラを訪問し、大西洋に面するロビト港でロウレンソ大統領のほか、ザンビア、コンゴ民主共和国、タンザニアの首脳と会談した。現職の米大統領がサハラ砂漠以南(サブサハラ)のアフリカを訪れるのは9年半ぶりで、アンゴラ訪問は初となる。さらに、バイデン氏の大統領として最後の外国訪問地ともなったが、アンゴラにはそれだけ大きな意味が込められている。
「形勢を一変させる投資だ!」──。バイデン大統領が昨年6月、イタリア・プーリアでのG7(主要7カ国)サミットでの記者会見で、「ロビト回廊」プロジェクトやサブサハラ地域のインフラ整備について言及した時の言葉だ。この言葉を体現する形でアンゴラを訪れ、各国の首脳との会談では新たに5億6000万ドル(約890億円)の追加拠出を発表。これまでに米国がコミットした投資額は40億ドルに達したことを強調した。
ロビト回廊プロジェクトは、コンゴ民主共和国南部とザンビア北部にまたがる産銅地帯「カッパーベルト」及びカタンガ鉱山地帯(コバルトなど)を、アンゴラの大西洋岸へと結ぶ鉄道網の整備や周辺地域の社会インフラの整備などを目的とした、欧米主導の包括的かつ巨大なインフラ開発プロジェクトだ。その主眼は、コンゴ民主共和国南部とロビト港を結ぶ総延長1300キロの「ベンゲラ鉄道」の能力向上である。
ベンゲラ鉄道はもともと、ポルトガル統治時代の1931年に建設され、アンゴラ国内の内戦後に中国の支援で改修されている。プロジェクトではさらに、新たに800キロの延伸工事を行ってザンビアまでつなげる計画のほか、クリーンエネルギーの開発やサプライチェーンの構築支援、食料不安への対処を目的とした農業バリューチェーンの育…
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週刊エコノミスト
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