PDA端末「パーム」 市場形成前の先読みで「稼ぐ特許」を創出=青木宏義
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<注目事例5>
近年、特許に代表される知的財産が注目されている。企業価値の約8割が無形資産になった今日、知的財産(本稿では特許を中心に説明を進める)はマネタイズ(収益化)できる無体財産であり、有効に使うことで、事業の価値、ひいては企業の価値を高めることができることが理由であろう。
よく「自社製品を特許で守る」という言葉を耳にするが、これは、例えば、自社製品を完全コピー(まね)されないように特許を取っておくという意味で使われている。このように特許を使用すると、他社の技術的・商業的な追い上げを遅らせることができる。これは、自社製品が優れていて商業的に成功しているほど有効である。この特許の使用は、自社製品とセットでの使用であり、根底にある考え方は、特許を専用権として捉えた考え方である(保険型)。
一方で、「パテント(特許)で稼ぐ」という言葉も耳にするようになった。これは、例えば、他社が自社の特許を使っている状況や、他社が自社の特許を使わざるを得ない状況で、ライセンスなどでマネタイズできるという意味で使われる。この使用は、必ずしも自社製品とセットで使用されるわけではない。つまり、自社で製品製造をしていなくても特許のみ使うことができるのだ。この使用の根底にある考え方は、特許を排他権として捉え…
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週刊エコノミスト
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