欧州編 ユーロ圏に景気減速懸念 2019年の利上げは見送りも=田中理
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ユーロ圏では景気や物価の下振れリスクが後退したことを受け、欧州中央銀行(ECB)が、欧州債務危機(2009~12年)時に導入した大規模な金融緩和策の段階的な縮小に着手している。国債や社債などを対象とした新規の資産買い入れを18年末に終了した後も、当面は満期を迎えた保有資産の再投資(バランスシートの規模を維持)を通じ、緩和効果の継続を決めている。次のステップは、デフレリスクに対処する過程でマイナス圏に引き下げた政策金利の正常化(=利上げ)となってくると推測されるが、ECBは19年夏までは利上げを開始しない方針を示唆している。
だが、世界的な景気減速の余波や貿易戦争の脅威を背景に、6年目に入ったユーロ圏の景気拡大に暗雲も広がり始め、企業の業況判断が急速に慎重化している。減速の背景には、天候不順による外出の手控えや大規模なストライキの発生、自動車の新排ガス試験対応の遅れなど一過性の要因や、労働力不足などの供給制約が指摘されている。
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週刊エコノミスト
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