週刊エコノミスト Onlineワイドインタビュー問答有用

「考える葦(あし)ならぬ、行動する葦となる時代」 “和製サンデル”=小川仁志 哲学者・山口大学教授/739

     人間の欲望や懊悩にはきりがない。思い通りにならない時、ねたみや不安など、どす黒い感情が全身に巣食う。家庭で、社会で、人間としての尊厳を保ちつつ諸問題を解決し目的を達成するにはどうすればいいか。答えは「公共哲学にあり」という。

    (聞き手=冨安京子・ジャーナリスト)

    ── 「世の中の問題や懊悩(おうのう)を救う方法の一つが公共哲学だ」と訴えています。公共哲学とはどんなものですか。

    小川 一言でいえば、行動を伴う思考実験です。人間は頭で考え(思考)、喜怒哀楽に突き動かされ(感情)、体を使うこと(行動)によって目的を勝ち取る有機体です。その三つの力はいわば人間の特性ですね。だから持てる力を存分に駆使し、自らの体を使って多くの人の役に立つ(公共性)ことを実践する、それが公共哲学の考えです。

     頭で考えるだけでは哲学とは言えません。哲学とは「物事の本質を探求すること」、つまり自分なりでいいので、行き着くところまで考え抜き、それを言葉で表現すること。私の敬愛する哲学の父、ソクラテスが言う「善(よ)く生きる」とは、自らの魂を高め、周りの人々も巻き込んで、より善いものへと高めていくための知の探求を人生の目的とすることです。自分本位ではなく、真に、的確に、世の中に貢献できるかどうかがポイントで…

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