現実の世界で再演された資本主義の不安定性=岩井克人
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『貨幣論』の元となる雑誌連載を始めたのは1991年だった。平成元年(89年)11月に起きたベルリンの壁の崩壊、そしてソ連崩壊が大きかった。
『貨幣論』で示そうとしたことは二つある。一つは、資本主義と社会主義の対立で社会主義が崩壊したことを、理論的に再確認しようとした。マルクス経済学が前提とする「貨幣はそれ自体が価値を持つ商品である」という仮説をひっくり返すことが目的だった。
もう一つ、資本主義が勝利したと見なされたが、自由放任主義的な資本主義も、実は自己矛盾を含んでいることだ。
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週刊エコノミスト
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