教養・歴史自著で振り返る平成経済

現実の世界で再演された資本主義の不安定性=岩井克人

岩井克人・国際基督教大学特別招聘教授
岩井克人・国際基督教大学特別招聘教授

『貨幣論』の元となる雑誌連載を始めたのは1991年だった。平成元年(89年)11月に起きたベルリンの壁の崩壊、そしてソ連崩壊が大きかった。

『貨幣論』で示そうとしたことは二つある。一つは、資本主義と社会主義の対立で社会主義が崩壊したことを、理論的に再確認しようとした。マルクス経済学が前提とする「貨幣はそれ自体が価値を持つ商品である」という仮説をひっくり返すことが目的だった。

 もう一つ、資本主義が勝利したと見なされたが、自由放任主義的な資本主義も、実は自己矛盾を含んでいることだ。

残り2089文字(全文2329文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月6日号

上がる金&揺らぐドル 史上最高値への地殻変動16 米実質金利との逆相関 崩れた背景に中銀の買い ■村田 晋一郎/谷道 健太19 これで分かった! 「金」の基礎知識 Q&A ■池水 雄一 徹底展望 2023年末 金価格の見通し22 2300ドル 非民主的国家が買い増し 西側への不信で分断拡大 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事