教養・歴史自著で振り返る平成経済

後先考えない経済政策 成長戦略はもうよしてくれ=齊藤誠

    齊藤誠・名古屋大学大学院経済学研究科教授
    齊藤誠・名古屋大学大学院経済学研究科教授

     これほど大変なことが自分の社会で起きたのだから、目を背けずに見ようと思った。震災の直前に、行動経済学に基づく人々の地震リスクへの対処について研究発表していた。震災発生当時、震災をテーマにする社会科学者はあまりいなかった。他の研究は保留しようと腹をくくった。

     事故後、反原発論者たちは「明日から原発をゼロにしよう」と主張した。だが、放棄するといっても原発はとても危険な構造物で、使用済み核燃料の問題は残る。技術の底辺をどう支えるのかも問題だ。周到かつ創造的な対応が必要となる。拙速に廃絶を決めることを危惧した。

     事故前には社会も地域も、原発を受け入れることにおおむね合意していたという経緯がありながら、「事故は起きないと言っていた。約束が違う」と皆が原発反対に回った。それは違う、と思った。事故が起きないという約束はできない。それでも原発を受け入れていたのだ。

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