官民ファンドの産業革新投資機構（ＪＩＣ）で、田中正明氏ら民間出身の取締役９人が昨年12月末に一斉に辞任したのは、報道されているような高額報酬が原因ではない──。ＪＩＣ経営の基本方針をめぐり、所管する経済産業省と、民間から着任したＪＩＣの旧経営陣との対立が背景にあったとの声が、事情に詳しい関係者から聞かれ出した。

　産業政策に詳しい民間関係者は、対立が決定的になった理由を、こう解説する。「地政学のリスクが高まる中で、国内の有力企業が、外国企業に買収される事態を阻止したい経産省側の意向に、国から圧力がかかるのを潔しとしない田中氏らが難色を示した」。