国際・政治

大統領が目立つ政治舞台 「陰の主役」は議会が担う=高井裕之

    議会の動きは要注目。写真はペロシ下院議長(Bloomberg)
    議会の動きは要注目。写真はペロシ下院議長(Bloomberg)

     新緑の季節を迎えたワシントンDCでは、4月に公開されたモラー特別検察官の捜査報告書を巡り、司法長官と議会の間で連日、熾烈(しれつ)なせめぎ合いが続いている。報告書には、2016年の大統領選中にトランプ陣営がロシア政府関係者と共謀した疑いと、米連邦捜査局(FBI)の捜査を妨害しようとした疑いを克明に調査した結果が記されている。メディアでは、行政府内での大統領と彼の部下たちの言動ばかりが注目されるが、実はワシントン政治を動かす陰の主役は議会である。

     米国の歴史をひもとくと、各植民地代表による大陸会議が初めて開催されたのが1774年、憲法の署名が1787年。憲法に先んじて実質的な議会が始まっていたのだ。初代ワシントン大統領は1789年就任なので、歴史的にも米国政治はまず議会ありきという点を押さえておく必要がある。米国が英国の王政から逃れた人々により建国され、国王のような絶対的権力を嫌ったことが背景にある。

     合衆国憲法も第1章で議会を定義し、大統領府は第2章だ。制度上は議会と大統領は対等の立場だが、実質的な権限が集中するのは議会である。憲法が定める議会の権限は、立法、大統領府の監視、予算管理によって政府を財政的に支えること、戦争の宣言、条約を締結し政府高官や大使を承認することだ。どんな法律も政策も予算をつける行為は例外なく議会の承認が必要で、「財布の力(Power of the Purse)」と呼ば…

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