大局観なき金融庁の迷走 省庁横断的テーマは重荷=高橋克英/10
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金融庁の迷走が続いている。新領域として前のめりに対応した仮想通貨では不正流出事件などが相次いだほか、インターネットを介して不特定多数から資金を募るクラウドファンディングでは、配当が滞るトラブルも発生している。一方、本来は金融庁が主導すべきキャッシュレス化や決済プラットフォームの構築では、経済産業省にお株を奪われた格好だ。
足元で広がるメガバンクのリストラや地銀の収益悪化も、金融庁の大局観なき行政方針と過度な経営干渉の影響がなかったとは言えないはずだ。森信親・前金融庁長官は昨年7月、これらの問題に道筋をつけることなく退任した。加えて、デジタル化が進み、異業種からも参入が続く中、既存銀行のビジネスの余地は急速に狭まっている。それなのに、金融庁はいまだにコンサルティング営業や地域密着などによって収益を改善すべきという理…
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週刊エコノミスト
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