教養・歴史書評

『インサイド財務省』 評者・土居丈朗

    著者 読売新聞経済部 中央公論新社 1500円

    「最強官庁」の凋落 克明に描写を展開

     消費増税を10月に控える今、財務省はどうなっているのか。「最強官庁」と呼ばれた財務省が、第2次安倍内閣以降、影響力が衰えた姿を、本書は描いている。

     本書の展開の伏線には、経済産業省官僚が安倍首相と近く、そのラインから財務省が外されている、との見立てがある。元をたどれば、安倍首相は、小泉内閣期から、消費増税を前提とした財政再建よりも経済成長を重視する「上げ潮派」だった。 ただ、もっと根深いところでいえば、安倍官邸は、民主党にすり寄った勢力を嫌う。野田内閣で、社会保障・税一体改革と銘打ち消費税率10%までの道筋を提起した財務省だけではない。菅内閣で実現した法人税減税になびいた経団連。いずれも、かつてほどの影響力がなくなったとみられている。民主党にすり寄ったが、安倍政権になる前にその会長を引きずり降ろした日本医師会は、逆に影響力が増している。経団連も、民主党政権期の会長から交代してからは、復調している。

     こうした視点を踏まえて本書を読むと、財務省の今の姿がより生々しく伝わってくる。財務省が強く提案する…

    残り664文字(全文1160文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,000円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    7月30日号

    乗り遅れ厳禁! 移動革命14 企業、業種の垣根を越える MaaSの底知れない破壊力 ■大堀 達也/加藤 結花17 インタビュー 宮岡冴子 モネ・テクノロジーズ企画・渉外部長  「クルマから得られるデータを付加価値に変える」18 Q&Aで学ぶMaaSの基礎知識 ■編集部/監修=阿部 暢仁20 一目で分 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    最新の注目記事

    ザ・マーケット