週刊エコノミスト Online 2040年の社会保障を考える
「育児の社会化」で保険導入の是非=山崎泰彦
有料記事
平成時代の社会保障史の中で最も顕著な成果は、介護保険の導入・普及であろう。具体的な検討に入ったのは、1994年に細川護煕首相の国民福祉税構想が頓挫してからのことだ。増税の困難さを目の当たりにして、税財源による従来型の福祉サービスの充実に懸けていた人たちも介護保険を推進する側に転じ、自社さきがけ連立政権下の97年に介護保険法が制定された。
そして2000年の施行以来、サービス利用者は着実に増えた。しかも、発足当初は給付費の約3分の2を占めていた施設サービスの割合が今では約3分の1に低下し、在宅・地域密着型サービスが大きく伸びた。平成の初めごろまでは、福祉の世話になりたくない、福祉施設は姨捨(うばすて)山、自宅が無理なら施設ではなくてせめて病院で、というのが世間相場であった。それが今では遠い過去の話になった。
残り2402文字(全文2760文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める