欧州中央銀行 ラガルド総裁に仏大統領の思惑 経験不足補う政治的手腕=鈴木敏之
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欧州連合(EU)の主要人事が固まった。2019年10月末に任期を終える欧州中央銀行(ECB)総裁に国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が充てられた。
人選はきわめて政治的だ。欧州委員長とECB総裁の二つのポストを独仏で分け合い、さらに見事なほどに、出身国の南北の地域区分、政治会派、性別がバランス良く配分された(表)。マクロン仏大統領の意向が働いているとされる。ECB総裁ポストをフランスが握ると同時に、任期8年のそのポストに、次の大統領選挙で自身の対抗馬になりえるラガルド氏を就任させる──というものだ。
ラガルド氏は仏財務相の経験があり、世界金融危機後にIMFの信頼回復に寄与した政治的手腕が評価されているものの、エコノミストとして専門職に就いたこともなければ、中央銀行での実務経験もない。歴代のECB総裁が出身国の中銀総裁を経ているのと対照的だ。中銀総裁として何をやりたいかというアジェンダも見えない。
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週刊エコノミスト
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