名著を別手法で再編集 魅力をつなぐ試みを読む=美村里江
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20代前半に古本屋で箱入りの上巻を購入し、毎晩舐(な)め溶かすように少しずつ、大変面白く読んだ。いつか箱入り下巻を、と考えながら入手できていなかったが、漫画化されたというので読んでみた。『追読(ついどく) 人間臨終図巻1』(山田風太郎原作、サメマチオ著、徳間書店、1500円)。古今東西の著名人923人の亡くなり方が享年順に書かれた原本に対し、追読という付記通り、本書は少し趣が異なっている。
「著名人の死を平等にドライに評していく山田風太郎」に対して、「著名人の亡くなる様子と山田氏の評、双方に感嘆する著者サメマチオ」という感じだ。著名人、山田風太郎、読者である著者の順位で尊重されているので、現代語訳がついている副読本として、注釈やツッコミにより気軽に読める仕様だ。原本も末長く残ってほしいが、次第に遠くなっていく時代性に対して、本の魅力をつなぐ一つの方法だと思う。
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週刊エコノミスト
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