投資は別枠・役職設置 各社がデジタル対応を加速=金山隆一
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6月20日、三井物産の株主総会。「デジタル技術で収益強化に取り組むというが、新しい技術に投資するのか。それを利用して会社運営を効率化していくのか」。株主からは、AI(人工知能)などのデジタル技術をどう活用して収益を伸ばすのか、という質問が出た。同様の質問は三菱商事の株主総会でもあった。
各社がここ数年、AIを活用し、需要や市況変動の予測、物流効率の改善による収益増などを狙った新組織を立ち上げている(表)。商社の利益の大半は、鉄鉱石や石油などの資源、電力や自動車、建機などのインフラや機械、衣料や食料などで占められている。これら得意分野にEC(電子商取引)プラットフォーマーが進出してきたら、商社の収益がどれだけ侵食されるのか、AIで仕事が効率化されたら給料の高い商社パーソンを維持できるか、という危機感が各社の経営陣にもある。
三井物産は2017年5月、北森信明副社長がチーフ・デジタル・オフィサー(最高デジタル責任者、CDO)に就任し、18年2月にデジタル技術で商社の事業を変革するデジタル・トランスフォーメーション(DT)チームを経営企画部に設置した。伊藤忠商事は昨年1年間で、北米の乗り合い型ライドシェア事業など15件に94億円を投資し、今期も次世代技術を持つベンチャー企業や、各部門にまたがる横断事業に計300億円の投…
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週刊エコノミスト
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