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週刊エコノミスト Online書評

『超不確実性時代のWTO ナショナリズムの台頭とWTOの危機』 評者・浜矩子

著者 深作喜一郎(慶応義塾大学特任教授) 勁草書房 3500円

今こそ必要とされるWTO 今日的課題と取り組みを詳述

 我が授業では、毎回のテーマについてあらかじめ学生諸氏に事前リポートの提出を求める。ある時、WTO(世界貿易機関)をテーマに選んだら、WHO(世界保健機関)についてリポートを書いてきた学生さんがいた。笑ったらいいのか、泣いたらいいのか。分からなくて困った。 かくのごとく影の薄くなったWTOについて、本書が実に網羅的で詳細な解説を施してくれている。何しろ、著者がWTOの前身であるGATT(関税貿易一般協定)事務局で長らく経済分析に携わっていた人だから、筆致が確かで情報量も多い。上記の学生さんもこれを読めば、二度と再びWTOをWHOだと思い込むことはなくなる。

 ハイレベルなWTOガイドブックであると同時に、本書は、ドナルド・トランプ流問答無用の通商戦略に関する徹底解明の書としても、読み応えがある。面白いことに、トランプ大統領がWTOを口汚くこき下ろし、役立たず呼ばわりすればするほど、実はWTOへの注目度が増してきた。WTOをパワーアップさせよう。そう思う他の加盟国の機運も、高まってきた。その経緯を、本書がとてもよく描出してくれている。

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