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週刊エコノミスト Online 書評

「頼む」に着目して分析 新たな視座示す日本人論=今谷明

 ハッサクといえば、今では大型の夏みかんの一種を指すが、もとは八朔と書き、8月1日の行事を意味していた。この日に、従者は主人へ、主人は従者へ、贈答品を出す。旧暦8月1日は稲が実る時節なので、この贈答品を「田(た)の実(み)」と称し、それが頼み、頼まれるに通ずるので、縁起のよい贈答節句となったのである。

 室町時代の例でいうと、康暦2(1380)年の八朔で、儒学者の東坊城(ひがしぼうじょう)(菅原)秀長は、将軍足利義満に『孟子』の新写本を献じた。ところが義満は関心がなく放置していたところ、伝え聞いた禅僧の義堂周信(ぎどうしゅうしん)が義満を諫(いさ)め、「儒書中、まず『孟子』を読むべし」と勧めたので、ようやく義満は『孟子』の学習を始めたという(周信の日記『空華日工集(くうげにっくしゅう)』による実…

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