週刊エコノミスト Online書評

中国 前近代と超近代が共生する中国作品=辻康吾

 一国の近代化の度合いをどうやって測るのか。近代化の定義ともども、その度合いを測るのは簡単ではない。林立する高層ビル、世界の先端をゆく5G技術、と同時に独裁化が進む政治権力、無視される人権問題など、「中国は本当に近代化しているのか?」と尋ねたくなることが多い。

 だがその中で中国の真の近代化を感じさせる一つが、本欄でも一部を紹介したことがある劉慈欣(リウツーシン)などのすぐれたSF作品の登場である。

 最近になって劉慈欣の『三体』が日本でもベストセラーに上っているが、中国SF界の重鎮である麦家(マイジア)(1964年生まれ、杭州市出身)の新作『人生海海』(北京十月文芸出版社)が発表されたので手にとった。麦家の作品は処女作『解密』がすでに英国のペンギン・ブックスにおさめられて国際的にも知られ、国内でも多くの文学賞を受賞している。

残り611文字(全文977文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

3月28日号

東証再編1年 日本株の大逆襲18 大日本印刷、カナデン…… 本気出し始めた低PBR株 ■安藤 大介21 60年ぶり大改革の東証再編 「骨抜き」批判についに本腰 ■編集部23 スクリーニングで探す 株主還元が期待できそうな120銘柄26 プライム経過措置 適用企業の8割が基準未達 スタンダード移行の救 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事