週刊エコノミスト Online書評

『グローバル・バリューチェーン 新・南北問題へのまなざし』 評者・服部茂幸

    著者 猪俣哲史(ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員) 日本経済新聞出版社 2500円

    国境をまたぐ企業活動が一変させた世界経済地図

     グローバリゼーションが進むということは、多くの企業が研究・開発、部品やサービスの調達、生産、販売、アフターケアといった活動を複数の国で行うようになるということでもある。こうした複数の国をまたぐ企業活動を「グローバル・バリューチェーン」と言う。このグローバル・バリューチェーンが世界経済と経済学(特に貿易理論)を変えている。

     例えば、米アップルのスマートフォンであるiPhoneの組み立て加工を行っているのは中国である。その中国に部品を供給しているのは、主として日本などの東アジア各国である。アメリカが中国からiPhoneを輸入すると、対中貿易赤字が増加する。けれども、iPhoneの販売による付加価値の3分の2を手にするのはアメリカであり、中国の取り分は1%程度にすぎない。最終財の貿易だけを考えていたこれまでの貿易論は古…

    残り769文字(全文1200文字)

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