新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online 書評

『グローバル・バリューチェーン 新・南北問題へのまなざし』 評者・服部茂幸

著者 猪俣哲史(ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員) 日本経済新聞出版社 2500円

国境をまたぐ企業活動が一変させた世界経済地図

 グローバリゼーションが進むということは、多くの企業が研究・開発、部品やサービスの調達、生産、販売、アフターケアといった活動を複数の国で行うようになるということでもある。こうした複数の国をまたぐ企業活動を「グローバル・バリューチェーン」と言う。このグローバル・バリューチェーンが世界経済と経済学(特に貿易理論)を変えている。

 例えば、米アップルのスマートフォンであるiPhoneの組み立て加工を行っているのは中国である。その中国に部品を供給しているのは、主として日本などの東アジア各国である。アメリカが中国からiPhoneを輸入すると、対中貿易赤字が増加する。けれども、iPhoneの販売による付加価値の3分の2を手にするのはアメリカであり、中国の取り分は1%程度にすぎない。最終財の貿易だけを考えていたこれまでの貿易論は古…

残り769文字(全文1200文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事