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独政府のCO2削減法案に批判 「排出権価格低すぎ」=熊谷徹
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地球温暖化問題への関心が強まる中、ドイツのメルケル政権は9月20日、2030年までにCO2など温室効果ガスの排出量を1990年比で55%減らすことを目指す法案の骨子を発表したが、学界などからは「大胆さを欠く内容で削減目標を達成できない」という批判が強い。
9月21日付のドイツ日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』によると、メルケル政権は、自動車などの燃料や暖房用灯油についてCO2の排出権取引制度を導入するとともに、暖房効率を改善するための費用を課税対象額から控除可能にする。また、市民の負担を軽減するために、電力料金の再生可能エネルギー賦課金を減らし、通勤にかかる燃料代の控除額を拡大する。電車の切符の付加価値税を19%から7%に減らし、国内線の飛行機の運賃を引き上げて列車の利用を促進する。
FAZは「同政権はこれらの措置に540億ユーロ(約6兆4800億円)を投じることを明らかにした」と報じた。また、メルケル首相の「これは気候保護政策について座標軸を変える政策だ。我々は(気候変動対策を訴える高校生で環境活動家の)グレタ・トゥーンべリさんの『科学者の意見に耳を傾けるべきだ』という指摘を尊重した」という言葉を引用した。政府は一連の対策を年末までに法制化する方針だ。
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週刊エコノミスト
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