週刊エコノミスト Online書評

疫病と戦った西洋医療がインドに与えた変化と忌避=本村凌二

     21世紀の先進諸国では、流行病といえば冬季のインフルエンザぐらいで、それも死にいたる者はきわめて少ない。流行病あるいは疫病よりも老衰で亡くなる人が多いという。ところが、第一次大戦前までは、流行病で死亡する場合が甚だしかった。

     デイヴィッド・アーノルド『身体の植民地化』(みすず書房、7600円)は、副題に「19世紀インドの国家医療と流行病」とあり、大英帝国支配下の南アジアにおける医療と流行病の実態に迫る歴史書である。

     インドそのものには長い歴史があり、高温多湿を背景とする伝来の在地医療が大きな力を持っていた。しかし、植民地化が始まり、西洋医療が持ちこまれたとき、そこに徐々に変化が起こっていく。「どのようにして西洋医療はインドに定着し、インド人とヨーロッパ人に対して等しく権威を標榜(ひょうぼう)できるようになったのだろうか」。それが全体テーマだ。

    残り539文字(全文916文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    7月14日号

    コロナが迫る 非接触ビジネス第1部16 「脱3密」に勝機あり リアル×ネットで株価急騰 ■白鳥達哉/種市房子19 インタビュー 鈴木康弘 日本オムニチャネル協会会長、デジタルシフトウェーブ社長 「ネット起点に、実店舗を運営」20  諸富徹 京都大学大学院 経済学研究科教授 「脱炭素社会への契機にも」 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事

    ザ・マーケット