疫病と戦った西洋医療がインドに与えた変化と忌避=本村凌二
21世紀の先進諸国では、流行病といえば冬季のインフルエンザぐらいで、それも死にいたる者はきわめて少ない。流行病あるいは疫病よりも老衰で亡くなる人が多いという。ところが、第一次大戦前までは、流行病で死亡する場合が甚だしかった。
デイヴィッド・アーノルド『身体の植民地化』(みすず書房、7600円)は、副題に「19世紀インドの国家医療と流行病」とあり、大英帝国支配下の南アジアにおける医療と流行病の実態に迫る歴史書である。
インドそのものには長い歴史があり、高温多湿を背景とする伝来の在地医療が大きな力を持っていた。しかし…
残り656文字(全文916文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める
※購読には毎日IDのご登録が必要です
今すぐ登録して続きを読む 海外にお住まいの方はこちらまたは
エコノミストに登録済みの方はこちらからログイン 毎日IDのみお持ちの方はプランのお申し込みが必要です