稼働中でも簡単に設置できる電流のノイズを吸収・削減する独自素材のプレート
エレソル株式会社は、2015年10月より独自の小さなプレートを採用した省エネ、節電サービスにより急成長し堅調に売上を伸ばしてきた。高さ50㎜×幅25㎜×厚さ3.5㎜、重量約21・5gの独自製法で開発されたこの小さなプレートを配電盤に貼るだけで、電気使用量の5%から10%の削減効果を生み出す。いたって簡単ではあるが、プレート自体に電気使用量を下げる機能が搭載されているわけではない。この独自製法のプレートには、電気が流れるときに生じる様々なノイズを払拭する特殊素材が採用されている。
同社取締役の南里啓介氏は言う。「電流が流れる際のノイズを吸収・削減することにより、結果的に電気使用量が5%から10%削減できます。あくまで我々民間独自の開発製品ですので節電に関する科学的な実証について、現在は東京工業大学と共同で専門的に研究を続けています」
エレソルはこの節電プレートを1プレート1ヶ月3千円(税別)のレンタルで販売を開始。全国の主に製造業や販売サービス業を中心に「省エネ」、「エコ商品」、「コスト削減」というフレーズを掲げて新規開拓を行った。しかしエレソルはスタートしたばかりの単独企業。企業認知度が低く中々契約にまで至らない。「プレートを配電盤に貼るだけで本当に電気代が下がるのか?と懸念する会社が多く、すぐに導入が決まらない時期が続きました。そこで『2ヶ月間のトライアル期間』設定し、費用対効果を含めて検証いただく期間を設け、プレート設置前と比較して消費電力の低減に効果が出た後に、導入の検討をいただくようにご提案するようにしました」
その結果、およそ75%の企業に消費電力の低減が認められ、営業実績は急展開。多くの企業から引き合いが増大し、現在までに約4千社が導入している。
ところが残りの25%については課題が残った。もともと電気使用量というのは、毎月一定ではないことが多い。気温の変動や企業側の生産量の変動などに比例する、プレートの設置効果がどれだけ貢献しているのか、明確な判断ができない状況が浮上する。さらに続けて南里取締役が言う。「昨今の日本の建物事情は、建設段階からノイズ対策済みのケースが多く、そのためプレートによる省エネ効果が顕著に出ずに、電気使用量が下がらないという結果も出てきました」
中東系企業の導入を足掛かりに海外展開。現在は25ヶ国の企業での導入実績
一方で、海外企業における営業機会に恵まれる。中東系の企業から“メイドインジャパン”の節電製品として好意的に受け入れられ、本国でのトライアルが開始されたのである。「中東の製造業の工場で設置テストを行ったところ、電気使用量がくっきりと下がり、導入が決定。本国内での販売契約に至りました」
明確な設置効果と実績により、2017年からは節電プレート事業は営業先を海外へとシフトした。テストケースを急速に増やし、顕著な節電結果を示すことで信用を獲得。導入企業が増大し、以後、現在は海外展開が主軸となっている。「日本から営業マンを派遣し、販売代理店に対し4ヶ月の教育期間を設けて研修からテスト導入まで指導しています。その後は、卸業と代理店の営業フォローにより導入拡大を行っています」
なぜ、海外の方がプレートの節電効果が出やすいのだろうか。「あくまで仮説ですが、古い建物の方が電流にノイズが多く、プレート設置による“ノイズ除去効果”が顕著に現れ、結果的に使用量が下がるのだろうと考えています。海外においては、9割以上に設置効果が得られ、電気使用量が平均で15%~20%クリアに下がるという結果が出ています」
現在までに25ヶ国で導入。海外からの問い合わせも多い。一般的に電気代が高額だといわれているヨーロッパでの引き合いも多く、欧州(EU)向けにはCEマーク(製品を欧州(EU)に輸出する際、すべてのEU加盟国の基準を満たすものに付けられる基準適合マーク)も取得、人気の節電製品として好調に売上を伸ばしている。今後は海外拠点を持つ日本企業に対しても営業路線を拡大し、ゆくゆくは全世界の電気使用量の削減に貢献していく。
インフラ全体の経費削減のためのトータル・ソリューション企業へ
現在エレソルは、当初のプレート事業の推進によって得た国内約4万件の契約情報をデータベース化し、電気代に限らず、ガス代、水道代、通信費や損害保険など各方面でのコスト削減についてトータル的なサービスを開始した。「230人の営業マンによる地道な営業活動により蓄積された情報をもとに、業種、業態別の適正価格を判断するためのデータベースを構築いたしました。節電をきっかけに、お客様の現在の固定費について適正化を図り、インフラ経費削減のためのコンサルテーション展開をしています」
企業が、自社の固定費について適正価格を知るチャンスは多くはない。また経費をひとつずつ検証するのは煩雑で難しい。業界の最安値や適正価格を知ることでランニングコストの削減を実現できるのは企業にとっては魅力的である。エレソルは、国内における節電プレート事業から次のフェーズへと展開し、企業のトータルな固定コストの大幅削減に向けてサービス拡大中なのである。
エレソル株式会社沿革
2015年3月9日設立。2016年10月節電プレート「エレソル」の販売を開始。半年後の2017年6月には「エレソル」導入企業が1,000社突破。同年11月、SGS品質保証(包括的な品質管理および認証)を発行。同年12月には、販売後1年半で「エレソル」導入企業が3,000社を突破する。2018年3月CEマーク(商品がすべてのEU 加盟国の基準を満たすものに付けられる基準適合マーク)取得。同年5月東京工業大学と品質向上のための共同研究を開始した。