週刊エコノミスト Online書評

文学作品を読まずしてその国の理解はできない=孫崎享

     私の専門分野は国際政治・外交である。だから、私が「時々小説を読む」と言うと「なぜ?」と聞かれる。

     でも、「専門を国際政治とするから小説を読んできた」とも言える。

     20世紀最高の外交官の一人が米国のジョージ・ケナンである。米国冷戦外交の基本となる「封じ込め」政策の立案者である。彼は第二次大戦直後のソ連で勤務した。ソ連の考え方を知る努力をするが、ソ連社会はケナンの侵入を許さない。ケナンはチェーホフを読み、ロシア人を理解する。

     私も、エセーニンやマヤコフスキーの詩や、ソルジェニーツィンを読みソ連社会を知っていった。駐イラン大使の時には、ペルシャ語の力が不十分だったので、絵本を読みあさった。多分、100冊くらいにはなる。

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