東京市場 ストラテジストが読む 米中緩和でハイテク株など回復へ=三宅一弘
有料記事
2018年春以降、悪化の一途をたどった米中貿易戦争が一時休戦方向に動き出した。世界的な投資資金は国債などの安全資産から株式などリスク資産にシフトし、世界の株価には逆風から追い風に転じる局面だ。米大統領選挙を1年後に控えて、主要国株式は実体経済の改善と金融緩和を両輪に強気相場の様相を強めそうだ。
10月中旬の米中閣僚級会合で、中国は米農産品の輸入拡大(年間400億~500億ドル購入)や、金融業の開放を了承し、米中首脳による第1段階の正式合意が12月初頭ごろに結ばれそうだ。その後、中国に進出した外国企業に技術移転の強要禁止や知的所有権の保護強化と、履行検証の確立を柱とする第2段階の合意が来春に向けて動いていくだろう。法整備を進めている中国は妥結すると推察される。
問題は中国が共産党体制の維持に不可欠と考える国有企業に対する優遇策や補助金政策の禁止などを迫る第3段階だ。中国側には受け入れがたい材料だろうが、米中双方とも交渉決裂による激震を回避すべく、「交渉継続」「現状維持」といった軟着陸を探るとみられる。
残り388文字(全文845文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める