週刊エコノミスト Online書評

高度成長期の日本 底辺で生きる孤独を読む=楊逸

    ×月×日

     待ちに待った高い秋の空。喜ぶ間もなく「明日は雨模様……」とテレビの天気予報をまた耳にする。本州での台風被害がまだ収まらず、沖縄から大火のニュースが飛び込んでくる。15年前に一度だけ訪れた首里城は黒焦げた廃虚になり、脳裏に往時の思い出だけが鮮明によみがえる。

    『待ち針 佐藤洋二郎小説選集一』(佐藤洋二郎著、論創社、2000円)。久しぶりに小説を読む。ベテランの私小説作家のデビュー作品「湿地」(1976年)を含め、97年までの20年もの間に発表された10の短編からなる一冊だ。

     地方から上京し司法試験を受け続ける若者。別れた男性の子どもを身ごもったOL。水槽の中で食われてしま…

    残り1001文字(全文1293文字)

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    契約のルールが変わる 民法改正16 経済活動の規律が一変 4月施行のインパクト ■市川 明代19 インタビュー 潮見佳男 京都大学大学院法学研究科教授 120年ぶり改正の意義 「市民に分かりやすく社会に生きた民法に」第1部 債権法編21 ココが大事1 「契約」が変わる ケース別で解説 改正の重要ポイ [目次を見る]

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