池谷裕二の闘論席
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バイオハックをご存じだろうか。生物工学(バイオテクノロジー)の技術を使って自分の身体を改造しようという試みである。こうした動きは以前から見られたが、このところ新たなフェーズに入ったようだ。象徴的だったのは米ラスベガスで開催された学術集会「バイオハック・ザ・プラネット2019」である。
これまでの集会では、登壇中にエイズの遺伝子治療の自己注射を実践してみせるなど、奇抜なパフォーマンスが目立った。参加者の多くは非専門家で、いわば「愛好家の集い」の域を出なかった。しかし近年は、博士号をもった研究者も参画し、最新の遺伝子工学を駆使した有効な治療法も開発されている。すでに製薬企業が開発した治療法を焼き直した「廉価版」が多いが、中には対処法のなかっ…
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週刊エコノミスト
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