少子高齢化の生産性ショック 質量のダメージと終身雇用の重し=山口範大
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マクロ経済学の成長会計の理論に基づくと、一国の中長期的な成長力である潜在成長率は労働投入量の増減、資本ストック蓄積、そして全要素生産性(TFP、以下生産性)上昇の3要素に分解できる。
先進国で軒並み低下
日本のような人口減少社会では労働力の減少は避けがたく、生産性が経済成長の鍵となるが、近年、生産性上昇率は鈍化傾向となっている。日銀の推計では、2000年から10年にかけての生産性上昇率は平均で前年比プラス1・0%程度あったが、11年以降、伸びが縮小しており、足元では同プラス0・3%程度と、1983年の推計開始以来、最低水準にある。
近年の生産性の伸び鈍化は、日本だけの現象ではない。経済協力開発機構(OECD)の統計を見ると、多くの先進国で、15年以降の生産性の伸びが08年のリーマン・ショック前を下回っていることが確認できる。特に米国については伸びの鈍化が顕著であり、15年以降の生産性の伸びは、00年代前半の4分の1程度に過ぎない。主要7カ国(G7)の平均で見ても、15年以降の伸びは00年代前半の半分程度である。
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週刊エコノミスト
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