週刊エコノミスト Online書評

『CFOポリシー 財務・非財務戦略による価値創造』 評者・平山賢一

     本書は、最前線で投資家との対話に取り組む大手製薬企業エーザイのCFO(最高財務責任者)が、どのように戦略を構築し、企業価値を高めているのかを具体的に示した実践の書である。膨大なアンケートデータに裏付けられた実証研究は、アカデミズムに対する貢献も大きく、理論の書でもある点で読み応えがあると言えよう。

     特に重要な視点は、財務戦略と非財務戦略のインテグレーション(統合)を通して企業価値が創られるというもの。財務情報に基づくROE(株主資本利益率)と非財務情報であるESG(環境・社会・企業統治)を融合したCFOポリシーを「ROESGモデル」と称して紹介するが、全ての企業経営者が真剣に取り組むべき課題でもある。

     現在の金融市場を眺望すると、情報技術革新の進展で、HFT(高頻度取引)やAI(人工知能)運用の領域に、多くの投資家が押し寄せている。短期売買での値鞘(ねざや)稼ぎの魅力は、食い尽くされた感がある。そのため投資家の視線は、より長期間での投資に向かわざるを得なくなっているのが現状だ。

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