米大統領に歯止めなし 「1人でも犠牲者」なら武力 残る対イラン衝突リスク=今村卓
有料記事
ソレイマニ司令官殺害という選択肢は、米国の対イラン戦略の中でも最も極端な選択肢であった。トランプ大統領はそもそも、軍事力行使を毛嫌いしている。昨年6月、米無人偵察機を撃墜したイランへの報復爆撃をいったん承認したものの、直前に中止した経緯もある。それにもかかわらず、ソレイマニ司令官殺害を決断した引き金は米国人に犠牲者が出たことである。米軍最高司令官(トランプ大統領)の軍事作戦の実施基準は「米国人に1人でも犠牲者が出た場合」なのである。そして、トランプ大統領の決断に続き、ホワイトハウスの安全保障・軍事チームが「現在のイランには本格的な報復などできない」と見込んで、殺害へ突き進んだ。
その安全保障・軍事チームとは、ポンペオ国務長官、エスパー国防長官、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ミリー統合参謀本部議長だ。ポンペオ国務長官はかねてから、ためらうトランプ大統領に軍事作戦を勧めていたとみられる。
残り1997文字(全文2405文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める