デジタル世紀の焦点/2 「リブラ」包囲網 デジタル通貨台頭を国家が牽制=山岡浩巳
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米フェイスブックが2019年6月、20年前半の発行計画を公表したデジタル通貨「リブラ」は、09年のビットコイン登場から10年を経て初めて現れた「本当に決済や送金に広く使われ得る暗号資産(仮想通貨)」として世界の注目を集めた。
決済手段として定着するには、価値が安定していることと、十分なネットワーク規模があることが重要だ。一部の店舗でしか使用できない決済は不便だし、店側もあまり使われない決済方法の受け入れ設備を整えるのは難しい。ビットコイン誕生後、多くの暗号資産が登場したが、投機の対象となるばかりで、決済や送金にはほとんど使われなかった。値動きが激し過ぎるうえ、規模も小さ過ぎたのである。
リブラはこれらの問題を乗り越えようとした。まず、複数の先進国通貨建ての安全資産(国債や預金)を100%裏付けとする「ステーブルコイン」とすることで価値の安定を図った。また、フェイスブックには世界で20億人超のユーザーがおり、ネットワーク規模も確保しやすい。リブラ発行の目的として、情報技術の進歩が国際送金などの利便性向上に結び付いていない状況を改善するという意図が述べられている。
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週刊エコノミスト
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