国際・政治コロナで急変 世界経済入門

何が起きるか/9 米中貿易戦争 第1段階合意の実態は休戦 分断進む=今村卓

第1段階の合意文書を持つトランプ米大統領(右)と中国の劉鶴副首相(Bloomberg)
第1段階の合意文書を持つトランプ米大統領(右)と中国の劉鶴副首相(Bloomberg)

 2020年1月15日、米中両国が貿易交渉を巡る「第1段階の合意」に至り、経済・貿易協定に署名、2月14日に発効した。18年7月に米中の関税合戦が始まって以来、追加関税が引き下げられたのは初めてだ。しかし、この時点で既に、「合意は米中貿易戦争の一時休戦に過ぎない」「貿易以外の米中対立は今後も激しくなる」との厳しい見方が多かった。

 理由の一つは、合意の本質の乏しさだ。経済・貿易協定には、中国が米国からのモノとサービスの輸入を今後2年で2000億ドル増やすことや、中国による知的財産権の保護や技術移転の強要禁止、金融市場の開放、人民元安誘導の自制などが盛り込まれた。中国が米国の要求をかなり受け入れたように見える。

残り1014文字(全文1321文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事