地銀 損益分岐点は10年で半減=山本大輔
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危機は、社会システムの脆弱(ぜいじゃく)な部分を突いてくる。すでにマイナス金利政策に苦しんでいる地銀は、どうだろうか。
融資先の状況は地域・業種・規模を問わず厳しい。2020年3月期の不良債権処理費用は、貸出金残高に対して平均0・1%前後の見込みだが、今後そこからの増加は疑いないだろう。
リーマン・ショック直前の08年3月期は、地銀全体の貸出金約180兆円に対して、本業の収益であるコア業務純益は約1・8兆円。約1%の不良債権処理費用が発生すれば、赤字という状況だった。リーマン・ショック時に地銀は新興不動産向け融資を中心に約0・6%の不良債権処理費用を計上、これに有価証券の処理損失が加わって、約半数の地銀が赤字に陥った。
現在は、貸出金が年4%前後の割合で増えたため約270兆円、一方でコア業務純益は貸出金利回りの低下によって約1・1兆円。有価証券売却益の支えがなければ、単純計算で約0・4%の不良債権処理費用で赤字になる(図)。
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週刊エコノミスト
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