コロナ禍のEU 強まる分断の“遠心力” 統合史上最大の危機=庄司克宏
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国際通貨基金(IMF)が4月14日に公表した2020年の成長率予測では、ユーロ圏がマイナス7.5%と世界で最も低い数値であった。欧州連合(EU)は平時に機能する想定で制度設計される一方で、非常時にはEUに代わって加盟国が協調して動く仕組みになっている。そのため、10〜12年の欧州債務危機やその後の難民危機で見られたように、共同歩調を取るのが難しい。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大では、EU単一市場で各国がばらばらに移動制限、入国禁止、国境封鎖などの措置を取ったため、物資輸送やサプライチェーンが分断された結果、厳しい経済状況につながっている。債務危機や難民危機に続くコロナ禍により、加盟国内でEUへの求心力が失われており、第二次世界大戦後に始まった欧州統合の歴史上、最大の危機に見舞われていると言ってもいい。
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週刊エコノミスト
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