被災可能性の説明義務は形だけ/46
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世の中の話題は新型コロナウイルス一色だが、まもなく台風や豪雨の季節がやってくる。この連載でお伝えしてきた通り、不動産市場では売買価格や金融機関の担保評価に、被災の可能性やマンションの管理状態などは織り込まれていないのが現状だ。
潤沢な修繕積立金を確保しているマンションでは、適切な修繕が行われて建物の寿命が延び、売買や賃貸などの市場流通性も担保される。修繕積み立てが不十分だと建物がどんどん劣化して寿命も短くなり、売りにくく貸しにくい状況を生む。その後のマンションの持続可能性に大きな差が出るわけだが、これも売買価格や金融機関の担保評価には反映されていない。
また駅からの距離や築年数、間取り、グレードなどが同条件のマンションが、浸水の可能性がある立地にある場合でもそうでない場合でも両者に価格差はない。仲介業者には浸水可能性の説明を義務付けるべきだし、不動産査定や担保評価にも反映させるべきだろう。そうならない原因は国の対応不足にある。
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週刊エコノミスト
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