経済・企業コロナ危機の経済学

戦時体制 市場・金融政策万能の見直し 政府機能拡大と資本主義の行方=高田創

    「大封鎖」というメッセーを発したIMFのゲオルギエバ専務理事(Bloomberg)
    「大封鎖」というメッセーを発したIMFのゲオルギエバ専務理事(Bloomberg)

     今年は第二次大戦終結から75年、3四半世紀の節目の年だ。何千年の世界史を振り返り、これほど長年にわたり世界規模での戦争がなかった時期は珍しい。それほど、我々は平和の時代を謳歌(おうか)してきた。太平の眠りを覚ます号砲が「第三次世界大戦」とも言えるコロナショックだ。

     今回、世界は見えない敵との第三次世界大戦にあるが、今日のG7(主要7カ国)諸国のリーダーは最年長のトランプ大統領、また日本の安倍晋三首相を含め全員が第二次大戦後生まれ、「戦争を知らない子供たち」の世代だ。

     いまやコロナショックで、市場機能が否定される不安がある。アダム・スミスは代表的著作である『国富論』のなかで、「見えざる手」による市場メカニズムを通じた公益増大を主張したが、今日の行動指針である「Social distance(社会的距離)」が意味することは、人々の交流の断絶だ。それは、「コロナ版ディスインターミディエーション」として交流(インターミディエーション)の断絶であり、「見えざる恐怖」による「見えざる手」の機能の否定である。

     また、今年4月に国際通貨基金(IMF)が発表した、世界経済見通しが示したメッセージ、「The Great Lockdown(大封鎖)」が示唆するものだ。さらに、確率分布もわからないような恐怖、「ナイトの不確実性」から生じるリスクプレミアム拡大は取引主体の情報の非対称性を強め信用の断絶を招く。「見えざる恐怖」が市場メカニズムを毀損(きそん)させる恐怖は恐慌につながり、マルクス経済学的には資本主義の…

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