住宅投資 「個人消費に影響」 持ち家価値の下落が深刻な消費冷え込み招く=荒武秀至
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米国の住宅着工件数は、今年1月の年率161万件をピークに急落した。住宅投資は米国経済の3%しかないので、69%を占める個人消費、14%の設備投資と比べ軽視されやすい。
しかし、(1)景気の先行性、(2)金融危機の引き金、(3)個人消費への影響──という3点から経済予測には欠かせない重要項目だ。
元々減っていた新築
まず、「景気の先行性」に着目すると、過去は、景気後退に入る1年ほど前に住宅着工件数がピークアウトしている。今回も1月に住宅着工件数がピーク、2月に株価がピークを付けると、3月から景気は急激に悪化した。10年以上も拡大を続けてきた住宅投資だが、今後は循環要因でも構造要因でも下押しが予想される。
次に「循環要因」として、住宅ローン金利の低下は追い風だ。30年固定金利は歴史的低水準の3・2%まで低下している。しかし、他の循環要因である雇用・所得の悪化、住宅価格の下落見通しから住宅の買い控えが起こるだろう。米連邦準備制度理事会(FRB)は平均住宅価格と賃料の比率を公表しているが、ここ5年は1980年代からの長期トレンドを上回り、住宅価格に割高感、賃料に割安感が出ている。住宅購入へ踏み切るタイ…
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週刊エコノミスト
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