国際・政治

コロナ危機下で加速する EU「持続可能な金融」の追求=金子寿太郎

気候変動問題に伴う金融監督上のリスクについて最も早く警鐘を鳴らしたカーニー前イングランド銀行総裁(Bloomberg)
気候変動問題に伴う金融監督上のリスクについて最も早く警鐘を鳴らしたカーニー前イングランド銀行総裁(Bloomberg)

 新型コロナウイルスが欧州で猛威を振るう中、環境問題を重視してきた欧州連合(EU)にもその余裕はなくなった、あるいは、経済活動の著しい停滞により二酸化炭素等の排出量が減っているため、気候中立化の緊要性が下がるのではないかなど、グリーンディール(環境問題や社会問題の是正を目指す)政策が鈍化するとの見方を耳にする。確かに、欧州委員会が今年中に予定しているグリーンディール関連作業の多くは、対応期限が1四半期後ずれすることになった(表)。

 しかし、対応期限の後ずれは状況の劇的な変化を正しく政策に反映するためである。グリーンディールの優先度が下がったためではない。むしろ、EU首脳や欧州委員会は、経済や社会の構造を見直せる今こそ環境対策や人権保護を実現する好機として捉え、「グリーン再生」というスローガンを掲げている。

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