Q6議論の歴史は? 「社会を支える労働に報いる」 18世紀末から民衆運動の蓄積=山森亮
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ベーシックインカム(BI)の議論の歴史は、200年あまり過去にさかのぼる。どのような状況下で、人々が何を求め、BIを要求したのかを振り返ってみると、そこには新型コロナウイルスが猛威を振るう世界の今後、いわゆるポストコロナの社会を展望するうえでのヒントがあるように思える。
BIの起源は、18世紀末のイングランドにある。18世紀後半、議会主導で共有地の「囲い込み」が行われた。多くの農民が土地を追われ、生計を立てる手段を奪われた。イングランドの地方都市で学校長をしていたトマス・スペンスは、こうした農民たちの苦境を目にし、人類の共有財産(=コモンズ)であるはずの大地を私有することの不当性を訴えた。
といっても、地主たちから土地を奪い返すのではなく、地主たちに地代を払わせるという内容の提案だった。この地代で、コミュニティーの出費をすべて賄っても、かなりの剰余が出るはずであり、それをコミュニティーの全住民に平等に配ろうという趣旨だ。文書の形で残っているのは、1797年に出版された『幼児の権利』というパンフレットである。
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週刊エコノミスト
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