経済・企業ベーシックインカム入門

どうする社会保障 財源規模は小さい生活保護 貧困高齢者の議論が不可欠=阿部彩

児童手当はすでにベーシックインカムに近い設計で実施されている(Bloomberg)
児童手当はすでにベーシックインカムに近い設計で実施されている(Bloomberg)

 ベーシックインカム(BI)で人々の生活をどのように保障するべきか、という社会保障の根本的な議論が再提起されていること自体は歓迎すべきことである。新型コロナウイルスが感染拡大する前は、好景気と人手不足が続いており、最低賃金も引き上げられる中で、すべての人があたかも市場原理によって救われるという幻想が蔓延(まんえん)していたからである。

 BIの魅力はそのシンプルさにある。給付も一律、課税もシンプル。現行の複雑極まる社会保障制度を一掃し、BIに置き換えたら、という論者も存在する。一方で、社会保障制度は、さまざまな人々の異なるニーズや働き方に対応する形で現在の姿になっており、BIではそのような繊細な生活保障はできない、という論者もいる。

残り824文字(全文1143文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事