出口なきETF買い 「やめたくてもやめられない」壊される市場機能=山本謙三
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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日銀は今年3月16日の金融政策決定会合で、大量の資金供給とともに、ETF(上場投資信託)や社債の買い増しを決定した。株価は、各国の金融財政措置と相まって、大きく反発した。
日銀のETF買いはすでに10年近くにわたる。6月末時点のETF保有残高は、約33兆円に達した。早ければ2020年中にも、日本の上場株式の最大の株主となる可能性がある。
世界の中央銀行は、これまで株式市場から距離を置くよう努めてきた。今回の危機でも、社債の買い入れに踏み切る中央銀行は多かったが、日銀のように株式を買い入れている例はほとんどない。ETF買いが、市場の混乱の抑止に一定の効果を発揮したのは事実だ。しかし、公的な組織である中央銀行が一般事業会社のステークホルダー(利害関係者)になることは中銀自身の財務の健全性のみならず、市場経済や企業経営のあり方に多大な…
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週刊エコノミスト
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